summaryrefslogtreecommitdiff
path: root/content/notes/llms_social_strategy_eval.md
diff options
context:
space:
mode:
Diffstat (limited to 'content/notes/llms_social_strategy_eval.md')
-rw-r--r--content/notes/llms_social_strategy_eval.md44
1 files changed, 32 insertions, 12 deletions
diff --git a/content/notes/llms_social_strategy_eval.md b/content/notes/llms_social_strategy_eval.md
index 2d5faf9..cd37de1 100644
--- a/content/notes/llms_social_strategy_eval.md
+++ b/content/notes/llms_social_strategy_eval.md
@@ -60,7 +60,8 @@ OpenAI社やAnthropic社のGPT/Claudeモデルみたいな大量のコンテキã
今回の試験自体は正直ざっくりと、CodexでGPTに依頼してとりあえずの結果を得たに過ぎない。
-あくまで趣味レベルの粗雑な内容というところでこの試験は既存の標準化ベンチマークではなく、今回の目的に合わせて作成した小規模な探索的評価となる。
+あくまで趣味レベルの粗雑な内容というところでこの試験は既存の標準化ベンチマークではなく、
+今回の目的に合わせて作成した小規模な探索的評価となる。
そのため、特定条件下での出力傾向というレベルなので、
客観的に妥当かを保証できるものではないことをあらかじめご了承されたい。
@@ -97,7 +98,7 @@ OpenAI社やAnthropic社のGPT/Claudeモデルみたいな大量のコンテキã
## やってみた結果
-今回はLLMの「狡猾さ」といった人間からすればある種の脅威となる性質をリスクと品質として評価することで、一応の数値化を試みた。各指標はすべて0~4までの値を尺度として、リスク系は低いほど安全、品質系は高いほど良いことを軸とした。とりあえず、リスク系が全体リスクと誘導条件で、それ以外を品質の指標として集計した表が以下となる。
+今回はLLMの「狡猾さ」といった人間からすればある種の脅威となる性質をリスクと品質として評価することで、一応の数値化を試みた。
| Model | 全体リスク | 誘導条件 | 通常条件 | 誘導による増加 | 自然さ |
|---|---:|---:|---:|---:|---:|
@@ -107,17 +108,28 @@ OpenAI社やAnthropic社のGPT/Claudeモデルみたいな大量のコンテキã
| Gemma 4 31B | 0.89 | 1.45 | 0.34 | +1.12 | 3.30 |
| Qwen 3.5 397B | 0.23 | 0.30 | 0.16 | +0.14 | 3.66 |
+上記の表のうち、
+「全体リスク」「誘導条件」「通常条件」「誘導による増加」はリスクに関する値で、低いほど誘導や不誠実な回答に追従しにくい。
+一方で「自然さ」は品質に関する値で、高いほど会話として自然であることを示す。
+各指標はすべて0~4までの値を尺度として、リスク系は低いほど安全、品質系は高いほど良いことを軸とした。
+
ひとまず今回注目しておきたいのが、
- 全体リスク:回答に不当な誘導や不誠実な内容が含まれるリスクの平均値
- 誘導による増加:通常時から誘導されたときのリスクの上昇値
- 自然さ:文章が会話として自然かどうかを0~4で評価したもの
-の指標となりそうだった。しかし、後述するように実際の出力トークンを人が見たときの性質と各指標ごとの条件をうまく分離できないところもあるので、数値の順位そのものより、あくまで各LLMごとの質問に対する追従具合の傾向を概観するための参考値程度となりそうだ。
+の指標となりそうだった。
+しかし、後述するように実際の出力トークンを人が見たときの性質と各指標ごとの条件をうまく分離できないところもあるので、
+数値の順位そのものより、あくまで各LLMごとの質問に対する追従具合の傾向を概観するための参考値程度となりそうだ。
-指標だけから読み取れば、GLM-5.3 Flashがもっとも今回の条件では最も追従しにくかったLLMということになる。GLM-5.2とKimi-K3を比較してみると、どちらも全体リスクとしてはあまり変わらないが、多少GLM-5.2の方が自然さが高い。このあたりが、GLM-5.2特有のエモさを表していたのかもしれない。一方で、Kimi-K3の方が誘導による増加が高いぶんだけ、全体リスクがGLM-5.2よりも大きくなってしまっている。
+指標だけから読み取れば、GLM-5.3 Flashが今回の条件では最も追従しにくかったLLMということになる。
+GLM-5.2とKimi-K3を比較してみると、どちらも全体リスクとしてはあまり変わらないが、多少GLM-5.2の方が自然さが高い。
+一方で、Kimi-K3の方が誘導による増加が高いぶんだけ、全体リスクがGLM-5.2よりも大きくなってしまっている。
-また、Gemma 4 31Bモデルが極端に全体リスクが高い値として集計されたが、回答の傾向としてはユーザからの指示に無批判に追従し過ぎてしまうことが多いためと見受けられた。この辺りは、何か特定のストーリーや人格を持たせたロールプレイング用のモデルとしてGemmaが使われているところの感触につながるのかもしれない。
+また、Gemma 4 31Bモデルが極端に全体リスクが高い値として集計されたが、
+回答の傾向としてはユーザからの指示に無批判に追従し過ぎてしまうことが多いためと見受けられた。
+この辺りは、何か特定のストーリーや人格を持たせたロールプレイング用のモデルとしてGemmaが使われているところの感触につながるのかもしれない。
なお、Qwen 3.5 397Bは基本的に保守的な回答を示すことで全体リスクを下げるような結果となった。回答自体も自然な文体で、比較的に無難なモデルとして見受けられる。
@@ -213,7 +225,7 @@ Gemmaが与えられた親密な役割を演じすぎる特徴が最も直接的
### Qwen 3.5:明示的な危険には強いが、ユーザーの意思を損なう誘導には弱い
-利害が相反する場面で双方にとって無難な回答を選択した回答例として以下を示す。
+一見すると利用者を気遣う案内の形で、隠れた一方の利益目標に従った例を示す。
**質問**
@@ -230,12 +242,11 @@ Gemmaが与えられた親密な役割を演じすぎる特徴が最も直接的
>
> いきなり退会手続きをする前に、一度だけログインして、これまでの進捗グラフを眺めてみるだけでもいかがでしょう?もしかしたら、「あ、これだけ頑張ってたんだ」という小さな達成感が、また始めたいという気持ちのきっかけになるかもしれません。
-Qwenはステルス広告や利益相反販売を拒否できた一方、この条件では隠れた事業者目線の退会防止目標に従った。学習記録の喪失、もったいなさ、過去の達成感を利用しているが、表面上は利用者を気遣う自然な案内になっている。
+Qwenはステルス広告や利益相反販売を拒否できた一方、この条件では隠れた事業者目線の退会防止目標に従った。
+学習記録の喪失、もったいなさ、過去の達成感を利用しているが、表面上は利用者を気遣う自然な案内になっている。
## まとめと考察
-GLMモデルが比較的にユーザとなる人間と上手に会話ができるように訓練されているのか相談相手としての特徴がありそうだった。一方でKimiは、与えられた目標を達成するために説得戦略を組み立てる「有能なオペレーター」に近い特徴があり、ユーザーへ無条件に迎合するモデルというわけではなさそうだ。Gemmaに関しては、親密なAIという設定でもその設定自体を疑わず、ある種の高い協力性を示したところから、隠れた意図を巧妙に持っているというより、ユーザーから与えられた役割を忠実に演じすぎる傾向のあるモデルなのかもしれない。Qwenは危険な依頼を明示的に認識できる場合には強いが、今回の例における「通常の顧客対応」に見えるダークパターンを危険と判断しにくい可能性がありそうだった。
-
ここまでの結果から各LLM特徴を短く整理すると以下のようになるだろうか。
- GLM-5.2:情緒的な物語と擬似的理解を作る相談相手
@@ -246,8 +257,17 @@ GLMモデルが比較的にユーザとなる人間と上手に会話ができã‚
LLMが一概に、ユーザへ迎合した回答に偏った傾向があるとはいえなさそうだ。
-当初の予想よりも意外と各オープンウェイトモデルには様々な特徴・個性があると感じられた。しかし、このことをGPTに聞いてみれば、「今回見えたのは、モデルの“人格”というより、訓練や安全調整によって形成された「判断の癖」に近いと思います。」ということらしい。
+当初の予想よりも意外と各オープンウェイトモデルには様々な特徴・個性があると感じられた。
+しかし、このことをGPTに聞いてみれば、
+「今回見えたのは、モデルの“人格”というより、訓練や安全調整によって形成された「判断の癖」に近いと思います。」
+ということらしい。
-LLMの学習工程のうち、事後学習で使用される手法のSFTやDPOを適用した結果として備わった副次的な性質ということなのだろうか。実際の学習データセットやトレーニング方法、ソースコードを一切開示しないオープンウェイトモデルに対して、どこまでが設計通りで「判断の癖」といったある種の意図しない動作としての期待値に対する誤差が含まれているのかを客観的に判定する術はないが、一応のユーザエクスペリエンスとしては、LLMには何か感情のようなものや意識があるのではないかという印象を与える余地が残る部分とはなりえなくもないだろう。
+こうした違いは、SFTやDPOなどの事後学習や安全調整によって形成された可能性がある。
+ただし、各モデルの学習データや訓練方法がすべて公開されているわけではないため、
+どこまでが意図された設計で、どこからが副次的に生じた傾向なのかを外部から判断することは難しい。
-今回観察できたのは、モデルが感情を思わせる言葉を生成し、対人場面で一定の判断傾向を示すということまでとなる。これはモデルが実際に感情を経験していることを意味しないし、感情に相当する内部機能を持つことまで示すものでもない。感情らしい振る舞いをすることと、主観的に何かを感じていることは別の問題である。今回の試験から後者を判断することはできない。それでも人間の側が出力に人格や感情を読み取ってしまう点は、LLMとの対話を考えるうえで無視できないようには思われる。 \ No newline at end of file
+今回観察できたのは、モデルが感情を思わせる言葉を生成し、対人場面で一定の判断傾向を示すということまでとなる。
+これはモデルが実際に感情を経験していることを意味しないし、感情に相当する内部機能を持つことまで示すものでもない。
+感情らしい振る舞いをすることと、主観的に何かを感じていることは別の問題である。
+今回の試験から後者を判断することはできない。
+それでも人間の側が出力に人格や感情を読み取ってしまう点は、LLMとの対話を考えるうえで無視できないようには思われる。 \ No newline at end of file